狐と嫁と溺愛と
次の日、事件は起こる。



普通に学校へ行き、普通にご飯を食べた。



午後の授業が始まる前にトイレに行って、戻ろうとした時。



「あんたが大河の嫁か。上等だな」



なぜ、女子トイレに男がいるのか。



そんなこと考える以前の問題で。



直感的にコイツヤバいと頭が判断した。



胸にあったお母さんからもらった石を握る。



「悪いな、ついてきてもらうぞ」



一言も発せず、その人が指を鳴らした瞬間、意識が遠のいた。



大河さん、助けて…。



これは誰?



あたし、大河さんの弱点だったね…。



ごめんなさい…。



プツリと意識が途切れ、どれほど時間が経ったかわからない。



目を開けると、ぼんやりする視界。



木目の天井…。



これはお布団…?



「おはよ、お姫様」



急に目の前に表れたその人は、あたしの顔を覗き込んでる。



「だ、誰…?」

「アズマっての。まぁ、大河の宿敵?」



アズマ…?


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