狐と嫁と溺愛と
気持ち悪い…。



離れて…。



やめてっ‼︎



「いっ…」



思い切り噛み付いたやった唇。



ジワッと血が滲み、一瞬男の顔に殺意が見えた気がした。



「力なんてもらえねぇじゃん。それにしても…俺を誰だと思って傷つけたんだ?」

「ぐっ…」

「はははっ、このまま殺してやりてぇ」



首を絞められて息ができない。



抵抗も、泣く隙さえ与えられない。



ただ苦しくて、息をしようともがくだけ。



「ゴホッ‼︎」

「まぁ、殺したら大河との交渉できなくなるし。やーめた」

「ゲホッゲホッ…」



咳き込むあたしを見下ろして、おもむろに掴まれた髪の毛。



痛いっ…。



「ただの人間じゃねぇかよ。面倒なもん嫁にしやがって。ちょっと殴ったら死ぬんだろう?つまんねぇやつ」

「離し…て…」

「おとなしくしとけよ?って、動かなくするけどな」



苦しいし痛いし、わけわかんない…。



髪の毛から離された手。



助けて、大河さん…。


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