狐と嫁と溺愛と
でも、やっぱり憎めないの。



お母さんがお母さんである限り、あたしはきっと、お母さんを憎めない。



「んっ…」

「おいおい、早いだろ…。クスリに慣れちまったか?」

「頭が…痛い…」

「元気、眠らせろ」



また眠るの?



もうイヤだ…。



どれくらい経ったの?



あなたは誰なの?



「これ以上打ったら死ぬぞ」

「マジかよ…。繋いどくか」

「その方がいい」



目が覚めたら体を起こされて鎖に繋がれた。



重い鉄球がついてるやつで、ビクともしない。



「あなたは…誰なの?」

「俺は天狗の当主。アズマっての。で、こっちが当主補佐の元気」

「天狗…」

「この前の一件でうちのもんが数匹使いもんにならなくなってな。やられっぱなしは性に合わねぇのよ」

「大河さんだって、蘭月さんだって…ケガした…」

「回復してんだろ?うちのはな、羽がねぇんだよ。飛べなくなったら終わりだろうが」



そんなの、逆恨みじゃん。


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