狐と嫁と溺愛と
それに、使い方があまりわかりません。



大河さんに電話なんてしないだろうし。



久しぶりの友達との放課後、気持ちを落ち着かせるために寄り道した。



コンビニに寄ると、あたしの財布にはぎっしりお金。



「スゲー、お金持ちじゃん」

「大河さんからなんだって。カードとか渡されたけど、使い方わかんないし。彼のお金を使うのもなんだか癪」

「別にいいじゃん、そういう結婚なんだから」

「あたしは春乃みたいに割り切れないもん…」



実際好きでもない人と結婚して、子供産んでくれなんて言われてみなよ。



いくらイケメンでも引くでしょう?



そんな話をしながら向かった、2週間ぶりの実家。



「えっ…」



あたしが住んでいたボロ借家。



あったはずのものが、跡形もなくなくなっている。



「は、春乃…。あたしの家が…ない…」

「更地になってるね…」

「お父さんは⁉︎どこに行ったの⁉︎」

「わからないよっ‼︎あたしに聞かれたって…」



あたしの帰る場所は…もうどこにもないってこと…。



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