狐と嫁と溺愛と
お互い様でしょ?



なんて思うあたしは、冷たい人間なのかな…。



「大河さんをどうしたいの…」

「人間界ででっけー顔してんだから、こっちに戻る必要はねぇだろ?この際だからこっちの世界から撤退してもらおうと思ってな」

「はぁ?バカじゃないの…」

「あ?なんだと…?」

「人間界ででかい顔?そりゃあするでしょうよ。何千人もの妖を養わなきゃならないんだから。こっちの世界から大河さんが撤退したら、人間になれない妖はどうするのよ」

「知ったこっちゃねぇよ」

「大河さんの悪口が言いたいなら、同じことをしてから言って欲しいよね。器、小さすぎるんじゃないの?」



久しぶりにムカついた。



相手はヤバいやつだとわかっているのに、止まらなかった。



バチーンと、大きな衝撃。



首が吹っ飛びそうになった。



「てめぇ、ムカつくぞ」



飛んできた平手打ちと、髪を掴まれ、無理やり目線を合わせられる恐怖。



殺されそうだ、あたし。


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