狐と嫁と溺愛と
目つきが鋭くなった大河さんは、クルリと向きを変えて部屋を出て行こうとしてる。


「ど、どこ行くの⁉︎」

「やっぱり、息の根止めてくるね。ナナは寝てていいよ」

「行かないでっ‼︎行かないで…。そばにいて、抱きしめて…」



拉致られてから泣かなかったのに。



今になって涙が出てきた。



「苦しい、胸が…。ごめんね、ナナ。もうどこにも出したく無い。ここにいれば安全だから、外に出ないで…」

「えっ、学校は…」

「そんなとこ、行かなくていいよ。ここにいればいい」



本気っぽい大河さん、ちょっと怖い。



おかしくなってないよね?



「アズマに力を奪われたの?」

「ううん、痣のこと、知らなかったみたいだから…普通の人間だと思われたみたい」

「そっか。キス…ね、キス」

「気持ち悪かった…大河さんじゃない人とキスとか、マジない‼︎あんなの、嫌いっ‼︎」



子供みたいに泣きじゃくった。


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