狐と嫁と溺愛と
あたしを宥めるように背中に周り、抱きしめてくれる大河さん。



涙が止まらない…。



しばらく抱っこされ、やっと落ち着いてきた。



「あのね、ムカついたからね、思い切り唇に噛み付いたの」

「血は飲んで無いよね?」

「うん」

「妖の血は飲んじゃダメだよ。ナナにはきっと猛毒だから」

「そ、そうなの…?」

「どうしよう、縛るだけ縛って…どこにも行かせたくない…」



自分を責める大河さんは、本当にあたしを出さないつもりなんだろうか…。



実行しそうだから怖いよね…。



たくさんお水を飲んで、点滴がもう終わりそう…。



「外してもらえるのかな…」

「ダメだね。ちゃんとご飯食べられるようになるまでコレはやめないよ」



そう言って新しい点滴に交換した大河さん。



だ、大丈夫?



手慣れてたけど、大河さんはお医者さんじゃないよ…?



「じいちゃん先生が大量に置いてってくれたんだよ」

「いやいや、そうじゃなくて…」

「なに?あっ、痛み止めも入れとこうか。眠くなるけどいい?」



よくないってば。


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