狐と嫁と溺愛と
顔が小さいよ…。



少しの間見とれていたら、急に地面に膝を着いた。



「申し訳ありませんでした」



土下座なんて初めてされた。



奥さんが謝るなんて…望んでないよ。



「頭をあげてください」

「いえ、ここに来るまで、私は死んでもいいと思っていたんです。アズマのために死ねるなら、それは本望だと…」

「…………」

「しかし、あなたの寛大な心遣いを受け、死にたくないと…思ったんです」

「頭、あげてください…」



ゆっくり上げられた顔。



目には涙が溜まっている。



この人、強くなんてなかった。



「気持ちはわかります。あたしがあなたの立場になったら、きっと同じことを言って、同じ気持ちになる」

「はい…」

「そんな悲しいこと、イヤです」



ポロポロと泣き出してしまった彼女の手を握り、とりあえず立たせて。



着物についてしまった土を払う。



「申し訳…ございませんっ…」



あぁ、痛い。



胸が…痛いよ…。


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