狐と嫁と溺愛と
たくさん話して、サエさんと話してると和むことや、人柄が好きだと思った。



「あたしなんて騙されて結婚したもん…。借金のカタに売られたと思って」

「人を騙すの、得意そうですからね」

「あっ、狐だから?」

「はい」

「あははははっ‼︎」



笑うとお腹がズキッと痛む。



でも、楽しくて笑ってしまう。



「詐欺師扱いはやめてくれ…」

「大河さんっ‼︎おひらきになったの?」

「いや、外の空気を吸いに来たら、天狗の嫁とうちの嫁が旦那の悪口大会を開いていたから」

「悪口じゃないよ?結果オーライでしょ」

「ふっ…。で、夕食は?」

「ちゃんと食べたし、薬も飲んだ」

「熱は下がったか?」



ピタッとおでこに触れる大河さんの手が冷たい。



あっ、熱下がってないかも…。



「布団に戻す」

「ヤダ‼︎ヒマすぎて暴れたくなる‼︎」

「また点滴生活になるぞ」



そう言って、大河さんの羽織っていた上着をかけてくれた。


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