狐と嫁と溺愛と
寝間着に着替えたら、さっさと布団に横になる。



「大河さんは…」

「離れにお戻りになられましたよ」

「そういえばタマキさんの姿、見てないんだけど…」

「タマキ様は前当主様のお屋敷に。龍の兄が来るのは気まずいとかで」

「えっ、あれって龍之介くんのお兄さん?」

「そうですよ。弟君とは歳が離れてます」



ご両親じゃなかったのか。



挨拶もロクにしてないけど、龍之介くん、最近感じ悪いもん。



言われてみれば雰囲気は似てたな…。



「お薬、飲みましょう」

「あっ、忘れてた」



これを飲むと眠くなる。



飲んだらしばらく、睡魔が襲ってきて、そらに抗うことなく従う。



痛い、痛い…。



助けて…。



誰も傷つけないで…。



もうやめて、眠りたくない‼︎



「イヤっ‼︎」



ガバッと起きると汗をすごくかいていた。



なに、今の夢…。



震える手と、早い鼓動を打つ心臓。


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