狐と嫁と溺愛と
口説かれてるの?



「奥さんはどうする気?」

「実家に送り返してもいい。なんなら、死別して後妻を迎えたことにしたって」

「最低。あなたと話すことなんてない。失礼します」



どうせ力目当てだ。



大河さんが今回天狗の城で暴れたから、その力を見せ付けられたから。



大河さんには敵わないと思ったんだ。



「妻を狙うなら、お前の天空の城とやらも壊滅させてやるぞ」

「大河さんっ‼︎」

「こっちで休むと言うから様子を見にくれば…。龍はもっと賢いと思っていたんだが…。バカなのか、竜美」



ギュッと片腕に閉じ込められて、この温もりに一瞬にして安心感。



こういう時、絶対助けに来てくれるんだ…。



ふっと笑った竜美さんは、両手を上げて降参のポーズ。



「俺は寝る」



そう言って横を通り過ぎて行った。



龍は好きになれないな、きっと。



「頼むから部屋から出ないでくれ…」

「ごめんなさい…」

「体調は悪くなさそうだな。昼は食べたのか?」



頷きながら大河さんの胸に顔を埋めた。


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