狐と嫁と溺愛と
竜美さんはうるさいからと、母屋に案内されたみたいだけど。



「何か飲むか?」

「いらない」



から、抱っこしててほしい。



座っても、大河さんの膝の上。



フワフワの尻尾があたしを包んでくれて、それを撫でると気持ちいい。



「溺愛されてるんですね、狐の奥様は」



そう言ったのは竜美さんの奥さん。



さっきあなたの旦那に口説かれたんだけど、どうにかしてよ。



なんて、言えないけど…。



「可愛いだろ?俺の宝だ」

「ちょっと大河さん⁉︎そんな恥ずかしいこと…まさか酔ってるの?」

「ん?酔ってはないだろ。少し飲みすぎてる程度だ」



フサッと顔を撫でる尻尾に顔が熱くなる。



絶対酔ってる…。



酒なんて水と同じだって言ってたのに…。



どれほど飲んだんだろう…。



「ごめんなさい…」



不意に謝られたのは、アズマから。



あぁ、この人も酔ってるのね…。



「あんなに殴ってごめん…」



な、泣かれてるっ⁉︎


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