狐と嫁と溺愛と
お腹を抱えて笑う鬼さんと、声を押し殺してるサエさん。



「もうしないから。サエにも怒られたし…」



そう言いながらポロポロと涙がこぼれ落ちている。



これ、泣き上戸ってヤツ?



「ゆ、許してやんない…」



そう言えば、ダーッと流れた涙。



何この人、可愛いんだけど。



「俺の足返せよ…」

「生えただろうが。あんなもん、お遊びだろ?」

「なんだかんだ、お前がいちばん残忍で冷酷だってことだ‼︎大河なんてさっさと死ね〜‼︎」



泣きながらそう喚いて、パタリと横になった。



妖も酔っ払ったらこうなるんだ…。



「まるで子どもね…」

「アキは相変わらずクールだな。旦那んとこ行かなくていいのかよ」



龍の奥さんは冷ややかな目。



アキさんって言うのか。



「イヤよ。酔ってるもの。子作りするとか言い出すわよ、たぶん。遊鬼と違って尻に敷かれてないし」

「狐の屋敷でか‼︎ぎゃははははっ‼︎」

「あんな男の子どもなんて産んでやるもんですか」



龍の夫婦は険悪らしいよ。


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