狐と嫁と溺愛と
高島さんがシェリルの来日で忙しくしていて、あたしのそばには珍しくろくろ首のアヤメさんがいる。
一緒にプールに足を浸し、なにも言わずにボーッとする。
「気持ちいい…」
「そうですね〜」
「アヤメさんは何歳?」
「女に歳を聞くのは野暮ですよ、ナナ様」
「じゃあ…どうしてこの屋敷で働いてるの?」
「主様に拾われたのです。夢もナツメも、もちろん私も、名前なんてなかったし」
気づけば妖になっていたというアヤメさんと夢さんは、大河さんに出会う前に娼婦のようなことをしていたらしい。
「仕事で地方に来ていた主様を騙してお金をむしり取ろうと企んだ私たちはね、色仕掛けで主様に声をかけたの」
『私たちを買わない?』
『…………あぁ、買おう』
「それが始めて交わした言葉だったんだけど、騙そうとしたのに逆に騙されてしまって。安い宿に入ったつもりが、目を開けたらこの屋敷にいたの」
「眠らされたってことですか?」
「そうよ、今思えば誘拐よね」
すごい話だ…。
一緒にプールに足を浸し、なにも言わずにボーッとする。
「気持ちいい…」
「そうですね〜」
「アヤメさんは何歳?」
「女に歳を聞くのは野暮ですよ、ナナ様」
「じゃあ…どうしてこの屋敷で働いてるの?」
「主様に拾われたのです。夢もナツメも、もちろん私も、名前なんてなかったし」
気づけば妖になっていたというアヤメさんと夢さんは、大河さんに出会う前に娼婦のようなことをしていたらしい。
「仕事で地方に来ていた主様を騙してお金をむしり取ろうと企んだ私たちはね、色仕掛けで主様に声をかけたの」
『私たちを買わない?』
『…………あぁ、買おう』
「それが始めて交わした言葉だったんだけど、騙そうとしたのに逆に騙されてしまって。安い宿に入ったつもりが、目を開けたらこの屋敷にいたの」
「眠らされたってことですか?」
「そうよ、今思えば誘拐よね」
すごい話だ…。