狐と嫁と溺愛と
結婚のことは校長と教頭しか知らないので、妊娠してるからだなんて、口が裂けても言えなくて。



「病院は週に1回通います。他は大丈夫です。ご迷惑かけます…」

「いいんだ、そういう理由なら、体育は課題で済むんだから」



課題が出てしまうらしい。



それはそれでショックだ…。



ムリだけはするなと言われ、教室に戻ると志鬼くんがベランダから誰かに手を振っていた。



「おっ、噂の1年の子?」

「ん、カワイイ」

「顔、真っ赤にしながら手を振り返すあたり、ピュアですね〜」

「付き合うのはまだ先。で、俺は今日デートなんで‼︎」

「どこ行くの〜⁉︎」

「どこ行けばいいのかわからん…。転校したてで土地勘ねぇからって理由であっちに任せる」

「それはいい言い訳だ」

「それにしてもハムスターみたいでカワイイなぁ〜」



うまくいくといいね、志鬼くん。



その後の授業は適当に聞いて、眠気と戦うこと1日。


< 512 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop