狐と嫁と溺愛と
バンッと大きな音で目がさめると、スーツ姿の大河さん。



「デート、行こう」



は?



これは夢?



今寝てたし、きっと夢だよね。



また眠るため、寝返りを打って枕に顔を押し付けた。



「無視かよ…。あっ、体調悪いか?」

「えっ⁉︎夢じゃないの⁉︎」

「何だよ、寝ぼけてただけか。俺もデートしてぇから」

「お仕事は?」

「気にすんな。とりあえず着替え」



珍しくあたしのクローゼットに入っていった大河さんが出してきたのは、キレイ系のワンピースと厚手のストール。



パンプスはヒールがなくて、ペタンコのやつ。



「エントランスで待ってる」



それだけ言って、部屋を出て行った。



デートって、デート?



大河さんとデートなんてした記憶がほとんどない。



とにかく着替えよう…。



ワンピースを来て、靴を履いたら高島さんがやって来た。



「髪、どうしましょうか」

「えっ、そこまで?」

「レストランを予約したと言ってましたし、デートですからね」



なにやらデートです。



行ってきます。


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