狐と嫁と溺愛と
こんなオシャレなとこに誰と着てたのか気になるけど、聞かないほうがいいかな?



女だと言われたら悲しいし。



「寒くないか?」

「うん、大丈夫」



イスに座り、そこで気づく。



あたし、マナーとかマジでわからない。



お父さんも結婚相手がこんなセレブだとわかってたんだから、せめてマナーくらい教えてくれてればよかったのに…。



「大河さん、あたしマナーがよくわからない…」

「俺と同じようにすればいい」

「うん、そうする」



運ばれてきた料理は、本当においしい。



大河さんはワインを飲んでいて、心なしか嬉しそう。



「志鬼くんもデートなんだよ」

「志鬼が?相手は人か?」

「うん、1年生だって言ってた」

「そうか、大変だろうな」



だよね。



あたしもそう思う。



人間の世界には妖より人間のほうが多い。



恋に落ちるのも、人間でも不思議はないけど…。



大河さんの元婚約者、由乃さんのように、本当の自分を受け入れられなかったら?



志鬼くんは、大丈夫かな…。


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