狐と嫁と溺愛と
全部がカワイイ。



雫たちの実家の和菓子屋に寄り、外に座る。



「ねぇねぇ、今まで食べたことないやつが食べたい」

「ん?グロいやつか?」

「うん、怖いもの見たさ」



頼んだものは羊羹的なもの。



緑色で、一見抹茶っぽいけど。



「う、動いてるっ…。何これ⁉︎」

「さぁな?なんの生き物が使われてるのか、俺にはわからない」

「大河さん、食べられる?」

「あ〜ん」

「へっ⁉︎」

「ほら、早く」



動くなにかを小さく切ったナナが、恥ずかしそうに俺の口にそれを入れる。



可愛すぎて、ナナを喰べたい…。



「ん、甘い」

「な、何味…?」

「…………食ってみれば?ほら、口開けて」

「お、お腹痛くならない⁉︎これって生きてる⁉︎」

「早く食えよ、落とすぞ」

「ん〜…」



目を瞑ってパクッと食いついたその顔。



涙目で上目遣い。



誘ってる?



「く、口の中で動いてる〜…」

「咬め。うまいから」



静かに咀嚼するその感じとか、神。



なにしててもカワイイなんて、卑怯すぎる。


< 557 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop