狐と嫁と溺愛と
時間をかけて飲み込めば、案外うまかったらしい。



「想像してた味と違う…」

「うまいか?」

「うん、おいしいね。でも…見た目が怖い…」

「はははっ、残りは俺が食うから。ナナは普通の食うか?」

「ううん、これ食べる」



ふたりで食った得体の知れないもの。



人間の体なら、絶対食おうと思わなかっただろうに。



本当に妖に近づいている…。



俺はそれでも嬉しいが…。



ナナの気持ちがよくわからない。



妖になりたくないと言われてしまうことが怖くて、聞く勇気がないんだ。



「やっぱり普通の甘いのがいいね」

「リクエストしてったら、新しくなにか作ってもらえるかもな?」

「プリンとか食べたいんだけど…お願いしてみよう‼︎」



店の中に入ってったナナは、雫のオヤジにプリンと言うものを説明していて。



お茶を持ってきた店の女将、雫と月の母親に『仲良しですね』なんて言われるくらい。


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