狐と嫁と溺愛と
さて、聞いてみよう。



「秋銀、お前、嫁に行く気はないか?」

「えっ?私が…お嫁さん?」

「白銀と言って、街で飲食店をやってる虎の妖だ」

「虎…。大河様は私がいらなくなったの…?」

「はぁ⁉︎そういうんじゃない。お前は人が怖いだろう?せっかくデカくなれたのに、人並みの幸せを知らないのもかわいそうだと思ってな」

「大河様のお友達?いい人?」

「あぁ、相当いいヤツ。それに、ラーメンがうまい」

「今度…会ってみる…」



さて、俺は姫の部屋でも覗こうかな〜。



いつもノックをしないで入るナナの部屋。



あっ、春乃ちゃんがいる…。



「大河さん、お邪魔してまぁす」

「いらっしゃい。シェリルんとこはどうだった?」

「すっごくキレイな国だった‼︎ゴミとか落ちてないし、けっこう田舎だけど、王都は栄えてるし」

「そうだろ?いいとこだよな」

「付き合ってみることにしたよ、シェリルと。まぁ、すぐにあっちに行くのは不安だから、とりあえず遠距離で頑張ってみる」



そう言った春乃ちゃんは、なにか吹っ切れたように見えた。


< 564 / 582 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop