狐と嫁と溺愛と
やっぱり人間の麻酔は全く効かず、妖用の麻酔に変えてから始まった手術。



意識があるのにお腹を切られるのって、耐えられない…。



ひたすら目をつぶり、怖いのを押し殺して。



「はい、出ましたよ。男の子ね」

「ん〜…、早く終わらせて…」



顔を見る余裕なんてなくて、赤ちゃんが泣く声だけを聞いて、ひたすら耐えた。



産まれた赤ちゃんたちはみんな無事。



よかった、みんな元気っぽい…。



縫合が終わり、ホッとして…。



「ごめんなさい、寝ます…」



気が抜けたのか、そこから爆睡した。



お腹を切ったから、凄く痛いんだろうと覚悟してたのに、全く痛くない。



「んっ…」

「ナナ?大丈夫か?具合悪くねぇ?」

「大河さん…。あたし…どのくらい寝たの…?」

「5時間」

「寝すぎた…」

「前の日も寝れてなかったんだろ?仕方ない。それより、お疲れ様」

「みんな…元気?」

「おぅ、ありがとな、ナナ」



また頭にキスをしてくれた大河さんの顔は、喜びを隠しきれてない。


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