狐と嫁と溺愛と
美しい妖
5



誕生日が1ヶ月後に迫っている。



とにかくあたしの体はおかしい。



初めは秘薬とかいう謎の薬が効いていたのに、今じゃ全く効かなくなってしまった。



突然やって来る発作のような熱。



体が燃えてしまいそうで、めまいがひどく、動けなくなってしまう。



この前、学校でそれが起こってしまった。



慌てる春乃に、あたしを運ぶ先生。



あんな思い、もうしたくない。



だけど、いつくるのかわからないので、防ぎようもないのが現実。



「寒そう…」

「今年は雪がたくさん降りますね」

「家出しようとした日も雪でした」

「ここは暖かいですけどね」



そうなんです。



外は雪なのに、この敷地内だけ降っていないんです。



どうやら、大河さんの張っている強力な結界のせいだとかなんとか…。



真冬なのに芝生が青々としているのは、ここだけ春だからだろう。



「では、向かいますので」

「お願いします」



村上さんの運転で今日も学校です。



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