狐と嫁と溺愛と
この家には大河さん、あたし、高島さん、村上さんの他に5人の従業員がいるらしい。



あたし、ここに来て1ヶ月くらいになるけど、その人たちに会ったことがないの。



「ホラーじゃん…」

「だよね⁉︎シェフってどんな人って大河さんに聞いたら、シャイだからそっとしとけって」

「そういう問題?」

「掃除とか洗濯してくれてる人たちも、見たことない。気配は感じるんだけど…」

「やべっ、帰ろうかな…」

「自分で言ってて怖くなってきた…。今日泊まる?」

「うん、絶対イヤ。シェフの正体が判明したらまた呼んで」



そう言って、春乃は帰って行った。



シェフの正体、気になる…。



しかも高島さんの話によればふたりだって言ってたし。



キッチンは覗いたことがないけど、勇気を出して見てみようかな…。



静かに近づいたキッチン。



そっとドアに手をかける。



「なにしてんの、お前…」

「ぎゃぁっ‼︎」

「はぁ⁉︎」



び、ビックリしたぁ〜‼︎



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