狐と嫁と溺愛と
そこにいたのは帰ってきた大河さんと、最近よく来るようになったお父さん。



お父さんに後ろから声を掛けられ、寿命が縮まった。



「どうした?」

「しぇ、シェフ…見たくて…」

「まだ言ってんの?」

「だってね、今日友達が来たんだけど、すっごく美味しいお菓子たくさん作ってくれたんだよ⁉︎お礼が言いたいし…」

「逃げられるぞ」

「どうして…?」

「臆病なんだ、あいつら」



大河さんは知ってるんだね。



他の従業員も、大河さんの前には姿を表すの?



「俺が伝えておくから、そっとしといてやって」

「そこまで言われたら…わかった…」

「じゃ、俺たちは仕事の話があるから。メシになったら呼んでって、高島に伝えて」



わかったよ…。



もう諦めるよ…。



シェフは諦めて、お風呂に入ることにした。



忙しい大河さんは、基本的に部屋でシャワーを浴びているみたい。



こんなに大きなお風呂があるのに、もったいない。



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