狐と嫁と溺愛と
って、このお風呂もいつも誰かが掃除してくれてるんだよね…?



誰かはわからないけど、お礼くらい言いたいな…。



高島さんはこの家の従業員の中でいちばん偉いから、掃除なんかは指示を出すだけみたいだし。



村上さんは車の運転と、お庭の管理でしょ?



やっぱり、お礼が言いたいよ…。



「あっ」



いいこと思いついた。



お風呂から上がって、すぐに向かった自分の部屋。



カバンからメモ用紙を取り出して、メッセージを書いた。



『いつもお掃除ありがとうございます。とても気持ちよく生活ができています。ナナ』



それをお風呂のドアにに貼り付けた。



「ナナ様?なにをなさってるんです?」

「見たことない人たちにお礼をしてるんです‼︎」

「…………彼女たちがこれを見たら泣いて喜びますよ、きっと」



そう言ってくれた高島さんにもいつも感謝してるんだよ。



高島さんがいなかったら、あたしはきっといろんなところでつまづいていたと思うから。



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