狐と嫁と溺愛と
あんなの耐えられるわけない。



意識なくなりそうだったんだよ?



今だって体が動かないんだよ?



「俺が喰ってやる」

「しかし、人間の姿に戻れないとなると、日常生活に支障がでるかと…」

「あんなにうまいもんは初めてだ。このバカみたいな妖力、気持ちがいい」

「味わってみたいものですな、その感じを…」

「耐えられねぇよ、普通の器じゃ」



別人。



大河さんが、大河さんじゃない。



穏やかな感じは一切しない。



この人は本当に偉い妖なんだと、変に納得する。



攻撃的で、威圧的。



高島さんが、怯えてるようにも見える。



あぁ、これが本当の大河さんなんだ…。



これが本当の妖…。



「ナナっ‼︎大丈夫っ…当主…様…」



駆け込んできたお父さんも、大河さんの姿に驚き、頭を下げる。



さっきまで笑ってご飯食べてたじゃない。



その姿に、どんな意味があるの?



「大河さん…」

「どうした」

「尻尾、触らせてね…?」

「後でな。眠いんだろう?ゆっくり休め」



優しいじゃん。



大河さんは、大河さんだよね…?



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