狐と嫁と溺愛と
そんなことを考えていたら、ビックリするほど早く眠ってしまっていた。




目を閉じたのは一瞬だったはずなのに、カチャッとドアが開く音で目が覚めた。



「お目覚めですか」

「す、すみません…」

「到着しましたよ、ここが華山邸です」



村上さんが開けてくれたドアから出てビックリした。



普通より少し豪華な家を想像していたのに、これはちょっとやりすぎ。



芝生が緑の絨毯のように生えていて、そこに建ってる真っ白な巨大建造物。



家…なんだろうけど。



近代的な雰囲気の大きな四角い箱。



ところどころにバルコニーや巨大な窓。



ここは普通に人が住む所なの?



コンサートホールとか、大きな体育館ではないの?



「どうかいたしましたか?」

「えっと、ここが…家なんですよね?」

「はい、昨年新築したばかりの、華山本邸ですよ」



新築だってよ。



あたしとは無縁の言葉だと思ってたよ。



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