狐と嫁と溺愛と
朝から涙。



楽しい気分だったのに。



「大河さん…嫌いっ…」

「気の毒だな、嫌いなヤツの嫁なんて」

「どっか行ってっ…」

「自分が誰のものか、よく考えろ。ジローにはしばらく会わせない」



それだけ言って、部屋から出て行った。



なんでそんなに怒ってるの?



あたし、ただお父さんにチョコをあげただけだよ?



しばらくそのまま泣いていたら、高島さんがやって来た。



「ナナ様…。おはようございます…」

「もう…ヤダよっ…」



こんな体なのも、大河さんも。



どうしてあたしだけにこんなことが起こるの…?



「当主様が誰かを家に連れてくること自体、珍しいんです。たとえそれが親族でも」

「えっ…?」

「信用してる者しか、自分のそばに置かない方です。ジロー様がこんなに頻繁にいらっしゃるなんて、今まででならばあり得ないことで…」



どうして…?



3日に1回くらいは来てるよ…?



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