狐と嫁と溺愛と
仕事が忙しいからじゃないの?



「ナナ様のこと、ちゃんと考えてらっしゃるんだと思います。言い方は冷たくとも、当主様は暖かい人なんです…」

「そんなの…わからない…」

「当主様は、悪い人ではありません。それだけは、わかっていてくださいね」



納得できない高島さんの言葉。



あたしには冷たいだけの人。



嫌いだ。



大嫌いだ。



「朝食、お部屋に運びますね」



気を使った高島さんが、部屋までご飯を運んできたけど…。



食べる気になれない。



なにもいらない。



こんな体調で、学校にも行けなくて。



あたしってなんなんだろう…。



1日をベッドの上で何もせずに過ごした。



何も考えたくなくて、涙ばかりが出てくる。



「うぁっ…」



また発作が起こって、昨日と同じ状況。



このまま死んでしまえたら、きっと楽だよね?



死んだら、神様だというお母さんに会えるのかな?



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