狐と嫁と溺愛と
抵抗しないでこの具合の悪さに身をまかせる。



ひどいめまいと、頭を殴られたような頭痛で何度か意識が飛ぶ。



それでもまた目が開いてしまう。




「ナナ…」



こんな時にまた大河さん…。



もう来ないで。



このまま死ぬんだから。



「またか?」



ちょうど背を向けて横になっていたから、そのまま無視した。



どうせ放置して、冷たい言葉を投げつけられる。



顔も見たくないのに。



「昨日は…やり過ぎた。すまない」



えっ…?



なんで謝ってるの?



散々ひどいことしたくせに。



「楽にしてやるから」



そう言った大河さんは、布団をめくり、あたしの体をうつ伏せにした。



ちょっ、なに⁉︎



「キレイな睡蓮だな。お前の母親が好きだったのか?」



あたしの腰にある痣を撫でる大河さん。



恥ずかしくて…体温がもっと上がりそう…。



「んっ…」



痣にキス…。



これ、ダメだ…。



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