ミルト
「では」
と私の手にそっと
花束を握らせてくれた。
花の名前はよくわからないけど
見たことある顔がいくつかある。
私は花を一つ一つ見るように
匂いをかいだ。
あま香りはきつくなくて
スッと身体にまとう。
「気に入ってくれました…?」
「うん!!」
「なら、良かったで」
「うん!!」
「うん!」
「うん!」
「うん!」
「うん!」…。
私の頬を滑っていく。
空くんは
特に驚いた様子もなくしゃがんでいた。
私と目線を合わせてくれている。
「…別にどっちでも
変わりませんよ、同じ姫ですから。」
と
私の耳に彼の手が触れた。