ミルト
テイク8
――えっ!?
俺は立ちつくしていた。
隣にいるレイちゃんは
不思議そうに俺を見上げる。
俺の目を追うように振り返ろうとするので
ついつい口を出した。
今は
あの二人を見せたくない。
いや、
違うか。
――俺が、見たくないんだ。
道路の反対側にいる二人を背にした。
そのまま歩く。
右側にはレイちゃん。
右腕に鞄。
左側には
道路を挟んだ向こう側にあの二人がいる。
追いかけたい。
…でも
足はいかない。
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テイク8