ミルト
俺は俺と話してたたけだったが
よく見れば隣にレイちゃんがいた。
よく見ればって
ずっといたんだが…。
すっかり忘れてた。
「…えっと、
何の話してたっけ?」
レイちゃんは
その華奢な腕で頭をかいた。
恥ずかしそうに
俺に聞く。
本当は
俺が言わなきゃいけないことだったのに
変わりに言ってくれる。
彼女は
本当に優しい。
優しすぎる。
俺のせいなのに
俺が言わなきゃならないことも
全て背負って言ってくれる。
その優しさに
ずっと俺は寄っ掛かっている。
彼女は決して
「どうしたの?」とは聞かない。
その理由は
俺のためではなく自分のためかもしれないが。