ミルト
来ました。
パレード当日。
俺は
パレードが始まるスタートライン近くにいた。
レイちゃんを待っていたのだ。
「ごめん、私遅かった?」
「あぁ、いや…」
別に遅くはない。
待ち合わせ時刻より
20分は早い。
「初デートのとき、
5分前にきたらもういたし
次のデートでは
もう少し早く来たのにいたし
その次もその次も
早く来たのにいるし…
いつも
何分前に来てるの?」
ハァハァと息づかいが荒いレイちゃん。
俺を見つけて走ったのだろう。
額に汗がスッと落ちた。
そんな様子も
爽やかな彼女は不快に思わせない。
むしろ
よく似合う。
そんなこと言ったら
怒るかもしれないけど…。
「…えっと、
一時間前くらい?」
「ええぇ!!?一時間?」
目を丸くして驚く彼女は
可愛い。
ぱっちりとした目に
今日の服はとても似合っている。
「えっ?」
少し離れたところから
大きな声が聞こえた。
どこか
聞き覚えのある声。
俺は気になって
目線だけ向けた。