ミルト
「姫!
お守り買ってきましたよ!」
相変わらずの敬語。
ハーフっぽい顔。
柔らかそうな金髪。
中々の身長。
これは…
「あれ?
もしかして、桐山くんですか?」
こいつは
空か。
やっぱり
変わってる。
なんか
ハーフ度が上がった気がする。
それと、
すごく優しそうな雰囲気がある。
あの頃目立っていた長身も
あまり目立たなくなっている。
「髪型も違うし
身長も伸びてるので一瞬わかりませんでした。
お久しぶりです!
覚えていますか?」
…覚えてるよ。
忘れるわけねぇだろ。
俺はお前を見て
諦めたんだから。
逆に
その顔を忘れてやろうとも思ったけど…。
…それはそれだ。
「…」
「相変わらず、
口下手なんですね――…ッ!」
彼の次の言葉の前で
隣にいた彼女が服を引っ張った。
どうやら
この場から離れたいらしい。
わかりました。と頷くように
空は俺に一礼をして背を向けた。
やはり彼女は
何も話さなかった。