ミルト


空と彼女の背中が
だいぶ小さくなったころだった。



後ろから
肩を叩かれた。


振り返る瞬間、
レイちゃんの人差し指が頬を指した。








「引っ掛かった!」

実に嬉しそうに言う。

あまりにもニコニコと笑うので
さっきの出来事を忘れてしまった。




正確には
さっきの出来事を伝えようとしたことを
忘れてしまった。








「?

あすか、
なんかあった?」







彼女は
よく気が利く。


よく気づくし
よく動く。



だから
工業高校という男子の固まった学校で
自然と委員長になる。

自然と生徒会長になる。








彼女は
明るいし可愛いし頭も良い。


ボブと言うのか普通にショートなのか
それくらいの長さは彼女らしい。







ちょっと照れ屋な部分も
芯の強さでカバーできている。






俺の彼女なんか

もったいないくらいの人物だ。

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