ミルト


「…レイちゃんさんです」



あぁ、
そういえば。


そういえば、
私は彼から離れた瞬間があった。








レイちゃんかぁ。

卒業してから
一度も会っていない。


家が遠いのもあるし、
あまり会いたくない自分がいる。








「レイちゃんさん、

桐山くんを誘って文化祭来てくれるらしいです。」










私は
席を立った。


いきなり
おもいっきり立った。



あまりにも私は驚いていたので
音は聞こえなかったが

後ろの椅子が倒れたのが
わかった。










『どうして!?』













私は声には出さなかった。


表情だけで
訴えた。



これだけで
彼に届く。




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