ミルト



「…いや」






はやり
私の声は小さすぎたのだろう。



彼に何も届いていない。









こんな姿を見せなくない。


レイちゃんにも
未来花にも見せたくなかったのに。









いやだ。


いやだ。











「…姫」








私はカフェを出た。








一人で出ていっては
いけないのに。


出ていけるはずもないのに、
私は飛び出した。






周りの音なんか
聞こえるはずもない。


私は
家へまっすぐ走った。



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