ミルト
今日
学校に来てすぐ
レイちゃんに誘われた。
いつもデートは
向こうから誘われて行く。
今回もそうだ。
俺は特に用はないので
むしろいつも暇なので断ったことはない。
ただ
今回だけは考えさせてくれと言った。
どうしても、
即答できなかった。
だからこそ
彼女は俺を行かせたかったのかもしれない。
帰り間際に
「待ってるから」と手を握られた。
俺は
彼女の顔を見れなかった。
ため息なのか苦笑なのか
それが俺の耳に届いたときにはすでに
手は離れていた。
――ウィーン
機械的な音とともに
重たそうな灰色の扉がスライドした。