ミルト



最初は
保健室に行こうとした。


でも
近くで吹奏楽部の屋外演奏をしているのを
思い出してやめた。


静かな場所。





静かな場所って
どこだろ?


なんせ、
姫喜の学校だ。


来たことなんてあるわけがない。








でも

静かな場所に連れて行かないと。




手を繋いだ後ろの彼女は
まだかた耳を押さえている。


たまに
うめき声に近い彼女の痛々しい声が聞こえる。







早くしないと、
早くしないと!


焦る気持ちが
思考をストップさせた。







なにも考えていない俺は
上へ上へ上がっていった。

< 185 / 206 >

この作品をシェア

pagetop