ミルト
最初は
保健室に行こうとした。
でも
近くで吹奏楽部の屋外演奏をしているのを
思い出してやめた。
静かな場所。
静かな場所って
どこだろ?
なんせ、
姫喜の学校だ。
来たことなんてあるわけがない。
でも
静かな場所に連れて行かないと。
手を繋いだ後ろの彼女は
まだかた耳を押さえている。
たまに
うめき声に近い彼女の痛々しい声が聞こえる。
早くしないと、
早くしないと!
焦る気持ちが
思考をストップさせた。
なにも考えていない俺は
上へ上へ上がっていった。