ミルト
――バンッ!
屋上に届く前の物置のような空教室。
薄暗く、
埃っぽい。
上の方の階は
あまり出店をしていない。
ライブなども
全部下の階でやっている。
そのため、
上の方はあまり音が届いていない。
これは
正解だったかもしれない。
椅子を探して彼女を座らせる。
息づかいが荒いのは
走らせたせいだ。
顔が青白いのは
この前もだ。
細くなった手足も
この前と同じ。
両手が自由になった彼女は
また両耳を押さえている。
俺はあまり音を立てないように
努めた。
しばらく、
彼女から少し離れたところで教室を
見回していた。