ミルト




『空くんは聞こえなくなった私にいち早く気づいてずっとそばで助けてくれてた』



『本当に感謝してる』








優しそうな瞳で
画面を触っている。


本当に苦しいとき、
そばにいてくれたのだろう。







彼女には
親がいない。


支えてくれる大人は
彼女にはいない。




唯一支えてくれたのが
空だったのだろう。









あぁでも
悔しい。


彼女のそばから
自ら離れた俺が言うのもどうかと思うけど…。









だけど、
やっぱり思うんだ。





――どうして俺は、

姫喜のことを見てなかったのだろう――。










そんなことを
考えずにはいられなかった。






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