ミルト
テイク4
腹が立つ。
後ろの席で
アイツらが話しているのが
聞こえるだけでイライラする。
まだ
視界に入らないだけましかぁ。
姫喜の隣の席の空。
俺より背が高くて
頭もよくて部活動も盛んらしい。
…完全に負けている。
金髪で肌は白くて
おめめぱっちりの可愛い顔。
あれが女なら
男は全員惚れる。
だが、
腹立つものは腹が立つ。
「おい、桐山。
なんか俺に恨みでもあるのか?」
アイツらは後ろの席で
睨む場所がないので
真ん前にいる先生を仕方なく睨んでいた。
「…俺、なんかしたか?」
不安そうな顔で見てくるのは
古典を教えているまだまだ若い先生だ。
別に
好きも嫌いもない。
でも、
優しくて一生懸命なところはいいと思う。