ミルト
「未来花ちゃん…。
お前いつからそのノートあるんだよ」
大きなため息と共に吐いた。
俺はゆっくり麺を調理していた。
今姫喜に怒ってもしょうがない。
空はいないし、
せっかく二人なんだから楽しまないと。
「あった!
うどんはイライラしているときだ。
未来花、
何にイライラしてるの?」
いやまず
なぜ料理で俺の感情が読めるのか知りたい。
自分でも気付いてなかったのに
なぜ姫喜が知っている。
ん?
てか俺、感情によって料理作ってんのか?
…そんなこと、
知らなかった。
いや、本当に
なぜ姫喜が知っている。
「ソファーの位置も変わってるし
テレビがピカピカ…。
洗濯物がたくさん干してあるし
爆買いした様子もある。」
まるで名探偵のように
彼女はブツブツ言っている。
顎に手を当て
腕を組み、あれはコナ○くんだな。
細く細く
うどんを切っていく。
どんどんどんどん
麺の数が増える。
イライラしていた腹の虫も
おさまりつつある。
「あっそうだ」
姫喜が突然叫んだ。
「ん?どうした」
俺の口調は穏やかなものになっていた。