ミルト
フラフラと
彼女は歩いていく。
職員室に行くつもりのようだ。
あの様子だと
誰かにぶつかりそうだ。
―ゴンッ―
まさかの壁にぶつかった。
急いで
駆け寄るとまだ顔が赤かった。
いや、
ぶつかった赤さかもしれない。
わからないけど
とりあえず保健室だ。
俺は姫喜を持ち上げた。
「…ア、レ? あすか?」
気づいたらしい姫喜がいった。
「ッッ!!!!
ちょっ、下ろして!
お姫様だっことかめっちゃ恥ずかしい。」
腕の中で
激しく暴れる。
まったく何をいってんだ。
さっきまで
お姫様ごっこしていた奴が。
「あすか!」
バシバシ叩いてくる。
あんまりの仕打ちなので
抱く力を強める。
そして耳元で
「じっとしてろ」と囁いた。
まったく、
狂暴女め。
そこから
姫喜は大人しくなった。
猫の毛皮をかぶった虎のようだ。
ただ違うのは
顔がやはり赤いだけ。
どんだけ
強く顔面を打ったのだろう。