ミルト
彼女が見せてきたモノは、
ネギがたくさんのったかき氷だ。
たくさんなんてもんじゃない。
たくさんかける3乗くらい。
とにかくハンパなく乗っている。
しかも
なにかかけているらしく黄色い。
まさかと思い
一応聞く。
「レモンシロップかけた?」
その問いに
元気よく首を縦に振る。
可愛いけど、
かわいいけど…。
氷にレモンにネギって
美味しいのだろうか。
「ネギ、
そんなに好きか?」
一応本人が好きだと言うので
なるべくネギ付きの料理にしているが
まさか自分で編み出してくるとは思わなかった。
いや、
その前に…。
「朝から
かき氷なんて食べるもんじゃねぇよ」
俺は彼女の手から
かき氷、ネギの山を取った。
彼女は残念そうな顔をして
やっぱり「お母さんみたい」と言った。
そこから
ふてくされたと思いきや
いきなり落ち込んだ。
「ほら、今日はお前の好きな
納豆とネギを使った朝ごはんにしてやるから」
なんだかんだと
慰めてしまっている自分に笑ってしまう。
姫喜は嬉しそうにして、
俺の頭を触った。
そして軽くポンポンッとして、
「ありがとう」と言った。
俺はどうすることもてきず
早々と台所に行った。