ミルト
「私、まだ用事があるから…」
耳をいじった。
出た、
嘘つくときに耳をいじる癖。
なぜ
そんなことを嘘をつくのだろうか。
そんなに俺と帰るのは
嫌なのか?
特に用事の内容も聞く気がない
というか
聞く勇気がでなかったので体の向きを変えた。
「早く帰ってこいよ」
それだけ言って
走った。
後ろの方で
姫喜が叫んでいる。
最初は無視しようとしたけど
あまりにも呼ぶので振り返った。
「未来花! 頭!!」
俺は黙って
リボンを取った。
そして走る。
――
視界の端に
誰かの影が写ったが
誰かはわからなかった―――。