ミルト


気がつくと
ベットの上にいた。


どうやら
保健室らしい。







カーテンの向こうで
保健室の先生が何か書いている。


大変そうだ。


やっぱり
楽な仕事はないんだなぁと改めて思う。









そのとき
ガラガラと音を立てて入ってくる者がいた。



「あら、どうしたの?

ケガでもしたの?」








先生の問いかけに
その生徒は口では答えなかった。


カーテン越しに
彼は首を振ったように見えた。







それで先生も理解したのだろう。

私が寝ている方へ
影が近づいてくる。







私はとっさに
寝たふりをした。








シャーと軽くカーテンは開けられ
先生は職員室に行かなくちゃとか言って
消えてしまった。



開けられない目で
見るわけにもいかないのでとりあえず
動きを停止。



間違えて
息まで止めそうになった。







…危ない、危ない。


もう少しで
美人薄命という言葉を本当にさせてしまうところだった。











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