ミルト

入ってきた生徒は
ベット横の椅子に腰かけたようだ。





「…姫喜」



そう言いながら
私の頭に触れる手は温かく大きい。







「…姫喜、ごめんな」









触れている手が
少しだけ震えているのがわかった。


なぜ、
彼が謝るのか私にはわからない。


確かに今、
車椅子に乗っているのは
彼がネギをのせてくれなかったせいだが…。











「…姫喜、

俺はお前が大好きだ」












私は
息を止めてしまった。


さすがに気づかれてしまうと思ったが
どうやら気づいていないらしい。


彼はその優しい手つきで
布団を改めてきちんとかぶせてくれた。








「俺は…



お前の隣にいつもいる。

お前の前で引っ張ってやる。

お前の後ろで支えてやる。



苦しくなったら、
俺に言え。

悩みがあったら、
俺に言え。

嬉しいことがあったら、
俺に言え。




俺をもっと頼っていいから、

頼むから
一人で溜め込まないでくれ!!」











――――。



















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