ミルト


しばらくして

彼は保健室を出た。







私は
どうすることもできず、
ただ寝たふりを続行していた。









廊下からの足音が完全に消えると
私は上半身だけ起こした。


彼の手があった場所に
手を置く。










熱のせいか
それとも別に意味があるのか、
おでこがあつかった。











「…。」











私、
苦しんでたかな。

悩んでいたかな。






わからない。




自分でもわからないけど
未来花は気づいたのだろう。







私が悩み苦しみ、
泣けずにいたことを。
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